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設立趣意書

特定非営利活動法人 里山・限界集落けんこう農房

設立代表者    福川 粛

 

1 趣旨

■定款に定められている目的や事業に係る社会経済情勢やその問題点

 近年、がんをはじめとする生活習慣病の罹患者数が増加の一途を辿り、身体的にも経済的にも深刻な社会問題になっています。

 そもそも、生活習慣病は現代人特有のライフスタイルが誘発原因です。文明の発達によって便利で豊かになった反面、過剰な栄養摂取や不規則なライフスタイル、過労や過度なストレス、喫煙や飲酒、運動不足、他者とのコミュニケーションの減少など、心身ともに個々の日常生活の乱れがもたらした結果といえます。

 一方、世の中には生活習慣病の治療法や予防を目的とした書籍をはじめ、サプリなどの健康グッズや情報があふれていますが、皮肉にも生活習慣病の罹患者数は減少するどころか増加傾向にあります。

その理由として、どんなに優れた健康グッズやサプリを取り入れても、身体面・精神面における個々の生活習慣の乱れを改善しないまま病気を治すことや健康を維持することはできないからです。また、セミナーなどで正しい知識や情報を得ても、日常生活の中で実践する場がないというのも事実です。

そこで当法人は、個々の生活習慣病を改善・予防するためには実践の場が必要であり、その場として自然あふれる過疎地域こそ最適だと考えています。

特に限界集落は、人口の50%以上が65歳以上の高齢者で構成され、共同体の存続が難しいと懸念されている集落が全国で1万ヶ所を超え、休耕地のまま放置された畑が多く残されている現状があります。このままでは、集落の生態系が破壊され、せっかくの豊かな土壌が失われます。安全な食材の生産・供給にも悪影響を与え、国の食糧自給率の低下を加速させるだけでなく、ゆくゆくは国民の食と健康に影響を及ぼしかねません。

 以上の問題点を踏まえて、当法人は生活習慣病の改善と予防のために実践の場を提供する里山・限界集落けんこう農房事業を立ち上げ、市民の健康の回復と増進、限界集落の再生を目指し、社会に貢献したいと考えています。

 

■法人の行う事業が不特定かつ多数のものの利益に寄与するゆえん

 生活習慣病で乱れた生活リズムを取り戻すヒントは、都会ではなく限界集落のような自然の営みが刻まれた土地に存在し、生活習慣病の改善と予防、健康を実践するには最適な舞台です。休耕地を耕し、作物を育てる一連の農作業は、限界集落の生態系を蘇らせ、住民との交流を促進させるという社会貢献も担うため、参加者の身体面だけでなく、精神面における健康も同時に育むことができると考えています。

 育てる野菜は、獣害に強く、無農薬で育てやすいのが特徴の秋ウコン、赤キクイモ、ショウガ、ニンニク、ヤーコンの5種に限定します。ファイトケミカル(※)が豊富な5種の野菜は、血液循環を整えて体温を上げる作用が期待できるため、免疫力を強化するには最適な野菜でもあります。収穫後は薬膳料理にして味わいます。

 さらに、農閑期や収穫後は、当法人のスタッフや当法人の活動に賛同する医療従事者を招いて、健康をテーマにした啓発・啓蒙のイベントやセミナーを大阪市内で開催します。

野菜を育てる農作業は、過疎地域の人々との交流や失われた里山の生態系を再生することにもつながり、自身の健康を取り戻すと同時に社会貢献も担える事業です。社会への貢献は人間が本来持っている欲求であり、生きがいへとつながるため、日々の生活を充実させると同時に自然治癒力を高めて免疫力を活性化させるうえで不可欠な要素です。

 以上のことから、里山・限界集落けんこう農房事業の活動は、生活習慣病の罹患者やその予備軍、健康に自信がない人、健康に関心がある人のほか、過疎地域の人々や自然、社会全般、不特定多数の人々の利益に寄与することになります。

 

(※)ファイトケミカルとは、植物中に存在するポリフェノールやリコピンなど天然の科学物質のこと。抗酸化と免疫力を向上させる物質を豊富に含み、第7の栄養素として注目されています。ギリシャ語でファイトは「植物」、ケミカルは「化学物質」を意味します

 

■法人格が必要となった理由

1.生活習慣病の罹患者やその予備軍、健康に自信がない人、健康に関心がある人たちに対してアプローチをするためには社会的信用が必要です。

また、健康をテーマに社会へ対しても啓発・啓蒙活動を行い、私たちの意志を伝えていくためには、個人事業者よりも組織としての機能が果たせるNPOという法人格が適していると判断したためです。

 

2.生活習慣病患者やその予備軍、健康に自信がない人、健康に関心がある人たちが私たちのサービスを利用することで生活習慣病の改善や予防が期待できるだけでなく、目下、崩壊危機にある里山や限界集落等過疎地域の生態系を再生することにもつながります。さらに、参加者の生活習慣病の改善や予防は、我が国における医療費の削減に貢献することにもなります。こうした社会貢献活動を行っていくためには、NPO法人格の形態が適していると判断したためです。

 

3.質の良いサービスを提供し続け、会員の個人情報を管理していくためには、マンパワーと管理体制が不可欠です。事業の意思決定部門や執行部門等の管理体制や責任の所在を明確にし、会員が信頼して利用および参加できる組織の実現は会員にとっても有益であり、そのためにはNPOという法人格が必要です。

 

 

2 申請に至るまでの経過

 里山・限界集落けんこう農房の前身は、平成24年2月に発足した「好奇心トレーニングセンター」という任意団体です。

 同団体は“いくつになっても好奇心を刺激する活動”をモットーとして、団塊世代の人々を対象に日々のよりどころを提供する「居場所ビジネス」を展開。平成24年度「大阪市生涯学習ネットワーク事業」にも選ばれました。

 具体的には、セミナーやイベント、出版事業などを行い、丹波市の協力を得て農業と健康をコンセプトに休耕地を活用した無農薬野菜づくり事業へと発展。その後、無農薬野菜づくり事業一本に絞り、がん患者をはじめ、健康に自信がない人たちを元気にするためのイベントや啓蒙活動を行ってきました。

 今後、事業を展開していくうえで、一層の社会的信用が必要となり、そのためには活動に賛同する人や団体に利用しやすい体制を整える必要性があります。そこで、活動の要となる組織を形成するために、平成26年7月にNPO設立における発起人会の開催及び、平成26年8月にNPO設立総会を開催したのち、NPO法人の申請を行う運びとなりました。

 

平成26年8月

特定非営利活動法人 里山・限界集落けんこう農房

立代表者 福川 粛

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